Episode.6 株式取引が上達するように、「PERを実際に使用する際の注意点」について正しく理解してみた
■結論
PERは、株価は将来の業績を織り込んで動くため、 PERの計算の際に使う 1株当たり当期純利益は、予想値を使います。すでに終了した期の実績値を使うと、 PERの有用性が低下してしまいます。
■指標の使い方
PERの数値は、会社四季報やヤフー・ファイナンスなどポータルサイトの各銘柄の情報ページ、ネット証券の注文画面などに記載されていますので、自分で計算しなくても確認することができます。ただし、サイトによっては、記載されている PERが 1株当たり純利益に予想数字を使ったものではなく、もうすでに終わった期の実績数字を使っている可能性があります。そこで、インターネットのサイト等で PERを見るときは、その数字が予想数字を使ったものなのか、終わった期の実績数字を使ったものなのかを確認するようにしましょう。ただし、過去の実績値を用いた PERに全く意味がないわけではありません。会社四季報の株価指標欄に「実績 PER」が掲載されていますが、これは過去の株価が利益の実績値を用いた PERで何倍の水準の範囲内にあったかを示すものです。実績 PERは、その企業の今後の株価の下値メドや上値メドを予想する上で参考になります。 企業の成長性の高低により PERの水準は大きく異なる PERは、 1株当たり(予想)当期純利益を使って計算するわけですが、その意味するところは、「この 1株当たり(予想)当期純利益と同じ利益水準が今後何年も続くとした場合」、今の株価が割安かどうかということです。しかし、今後何年も利益がこの 1株当たり(予想)当期純利益と同水準のままとは限りませんよね。成長性の高い企業であれば、 1株当たりの当期純利益も増加していくでしょうし、逆に、業績が悪化して、来期以降、 1株当たり当期純利益をどんどん減らしてしまう企業もあるはずです。現時点での 1株当たり(予想)当期純利益で計算した PERがいくら低くても、今後、利益がどんどん減ってしまうのなら今の株価は割安とは言えませんし、現時点での PERが高くても今後、利益をぐんぐん伸ばしていくなら、今の株価は割高とは言えなくなります。
■配当利回りの意味を理解するために
一般には「 PERの妥当水準は 15〜 20倍程度(これより低ければ割安、高ければ割高)」といわれることが多いようですが、これはすべての上場企業の PERの平均値がだいたいそのくらいだから、ということにすぎません。筆者の感覚では、利益が毎年安定しており成長のほとんどない企業の PERは 10倍前後に落ち着いていることが多いように思います。つまり、利益の額が今後も一定であると仮定した場合、投資元本を回収するために 10年かかる水準が株価の適正水準であると推測できます。多少乱暴ですがこれを基準として試算すると、毎年利益が 10%ずつ増加することが見込まれる企業(年間成長率 10%)の適正 PERは 15. 94倍、利益が毎年 30%ずつ増加することが見込まれる企業(年間成長率 30%)であれば 42. 62倍が適正水準となります。
逆に、毎年利益が 2%ずつ減少することが見込まれる企業の適正 PERは 9. 15倍と計算されます。そこで、毎年利益が 30%以上伸びそうな企業の PERが 15倍であれば、今後も利益が毎年 30%伸び続けることを前提とすれば、株価はかなり割安であると言えます。また、成長率ゼロの企業でも PERが 4~ 5倍なら割安と考えてよいでしょう。ただし、 10年先のことまで正確に予測することは事実上不可能であることを考えれば、もう少しアバウトにとらえたほうが実践的です。
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